CCI FRANCE JAPON

日系投資家及びフランス系企業の皆様、 フランスにおける実質的な受益者のご報告をお忘れなく!

在日フランス商工会議所の賛助会員であるLPA-CGR法律事務所パリオフィスでジャパンデスクを担当するカトリーヌ・ガイヤード弁護士(パリ弁護士会登録)及び戸崎愛理弁護士(パリ弁護士会及びニューヨーク州登録)より、フランスにおける実質的受益者の報告義務について以下のとおりご寄稿いただきました。

LPA

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 フランスにおいて登記された会社に新しい手続きが適用されます。

 フランスで登記された商事会社や外国企業の支店は、その「実質的な受益者」に関する情報を、所轄の商事裁判所の書記課に提出しなければなりません。この義務の対象者は、 既に登記された会社のみならず、これから登記される一切の会社であり、201841日迄にこの義務を履行しなければなりません。

日系企業がフランスで設立した子会社及び支店は、マネーロンダリング・テロ資金供与防止に関する4番目の欧州指令[i]を国内法制化した2016年12月1日オルドナンス[ii]及び2016年12月9日法律[iii]、並びにこれらを補完する2017年6月12日政令の施行により、当該規制の直接の対象となります。

1.       「実質的な受益者」とは

実質的な受益者とは、報告義務の対象となる組織/会社を直接又は間接的に支配する自然人をいいます。[iv]

実質的な受益者は必ず自然人です。複数の実質的な受益者が存在することもあります。[v]

実質的な受益者は次の図のとおり特定されます。

注: 1, 2及び3により実質的な受益者が特定できない場合、実質的な受益者は、報告の対象となる会社の法的代表者になります。法的代表者が法人の場合、当該法人の代表取締役の地位を有する自然人を実質的な受益者して特定すればよいとされています。

2.       報告義務の対象となる組織/会社[vi]

報告義務の対象となるのは、非上場商事会社、民事会社、経済的利益団体及びフランスの商事裁判所書記課の管理する商業登記簿に登記する義務がある組織です。

したがって、外国の会社がフランスで設立した子会社及び支店は、報告義務の対象となります。これらの子会社及び支店は、フランスの商業登記簿に登記する義務があるからです。

·         既に存在しているか、これから設立されるかを問わず、日系企業のフランスにおける子会社及び支店はこの報告義務を負います。但し、支店の場合、日本の会社の一部をなすため、日本の会社自体が報告義務を負うことになります。

·         一方、日系企業のフランスにおける駐在員事務所は、原則として報告義務の対象となりません。商業活動を行っている恒久的施設とみなされない限り、フランスの商業登記簿に登記する義務がないからです。

3.       報告する内容

報告書には実質的な受益者について次の情報が記載されます:

個人の住所、当該会社の支配の方法、及び当該会社の受益者になった日付。

報告書フォームは以下のとおりです(仏語)。

https://www.infogreffe.fr/documents/10179/0/RBE_01_51-2017-1_Modele_document_societe.pdf/8dda5ee3-c693-43ea-b330-439f6596baca

4.       報告書提出の時期

201782日より前に設立及び登記されている会社は、201841日迄に、直接または委任状を有する代理人を通じて、実質的な受益者の報告書を提出する義務があります。

上記日付以後に新しく設立及び登記された会社、又はこれから設立及び登記される会社については、商事裁判所書記課から登記書類の提出受領証の交付を受けた日から遅くとも15日以内に、実質的な受益者の報告書を提出しなければなりません。

報告書は、会社の法的代表者が日付記載・署名をした原本を提出しなければなりません。

この原本提出義務及び本年4月1日という差し迫った期限にかんがみ、この報告義務の対象となる会社の法的代表者がフランスに居住していない場合、当該会社のフランスにおける本店所在地を所轄する商事裁判所書記課に、代理人/弁護人を通じて、実質的な受益者の報告書を提出するための措置を迅速にとるべきです。

なお、報告後に実質的な受益者が変更になった場合は、その変更が生じた日から30日以内に変更の報告書を提出する必要があります。

当該制度はマネーロンダリング防止を目的とするため、違反に対しては重い制裁が課されます。会社の代表者に対しては6ヶ月以下の禁錮刑及び7,500ユーロ以下の罰金、法人に対しては37,500ユーロ以下の罰金ひいては会社解散の制裁まで可能です。

私共のアドバイス:

機密の株主間契約が存在する場合など、実質的な受益者の特定が困難な場合がありますので、なるべく早く実質的な受益者を特定し、商事裁判所書記課まで報告書を提出するようにしてください。


[i]    マネーロンダリング・テロ資金供与防止に関する2015年5月20日の欧州議会及び理事会指令2015 /849

[ii]   2016年12月1日オルドナンス2016‐1635号

[iii]  2016年 12月 9日法律 2016-1691号(いわゆるサパン法II)

[iv]     通貨金融法L561-2-2条

[v]     通貨金融法R561-1条

[vi]    商法L123-1条